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執筆者の写真 カトリック戸塚教会

2020年5月24日 主の昇天

マタイ28:16-20 ミサ説教

今日私たちは、主の昇天の出来事を記念しています。イエス様が十字架の死を経て復活され、40日にわたって人々にその姿を表された後、天に昇り御父の元に戻られたということ。そして同時にその出来事の中にあるイエス様の気持ちや天の父の心を思ってみることが大事です。

昇天という出来事は、ある意味でイエス様と弟子たちとの別れを意味したでしょう。天の父はイエス様が復活された後、ずっと弟子たちのもとで姿が見えるかたちで留まり続けることをよしとなさいませんでした。復活されたイエス様が弟子たちのもとから離れて天に向かわれる。でもそのことを天の父はあえてなさったのだと思います。

イエス様がこの世に残り続けられれば、もっと大きな業をなさることができたかもしれません。

でもそうすれば、弟子たちはいつまでも弟子のままで終わってしまったでしょう。イエス様が全部してくださる。イエス様にまかせて自分達は何もしなくて、ただついていくだけでよい。そのような思いを持ってしまったかもしれません。でも天の父のお考えは、これからは弟子たちがイエス様の働きを引き継ぐことをお決めになります。

イエス様は言われます。「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。」これは、これからはあなたがたが、私がしてきた働きを引き継いでいきなさいという意味です。そして弟子たちもイエス様と同じように働くことを通して、自分達も救いの喜びを体験することを望まれたということです。

救いは、私たちがじっと待っていてもたらされるものではありません。神様が望んでおられる私たちの救いは私たちがイエス様に従って歩み働くことを通して、一人ひとりが受け取っていくもの、感じ取っていくものだということです。その使命を果たすことができるように、イエス様は弟子たちに聖霊を送ることを約束されます。弱い人間である弟子たちが、この使命を生きることができるように聖霊という神様の力が与えられます。

イエス様は、御父のもとに戻られる前に、弟子たちに「わたしはあなたがたをみなしごにはしない」と言われました。私は時が来たら、自分の父のもとに戻ることになる。でもそれはあなたがたのためによいことなのだ。そうすることであなたがたのために弁護者である真理の霊が送られ、その方があなたがたに真理を悟らせてくださり、導いてくださると言われました。

イエス様の姿はやがて目で見ることができなくなる。でも、それはイエス様が私たちから遠く離れてしまうということではなく、確かに目でイエス様の姿を確かめることはできなくなる。でもこれからは聖霊の働きのうちに、イエス様は私たちの中に共にいてくださるということです。そのことを私たちが信じて歩むことが求められています。これからは自分たちの働きの中に、イエス様の存在を感じ取っていく。そのような心の態度が求められます。

現代という時代の中を生きている私たちが、いつもイエス様とつながる心、自分が生きる場の中にイエス様が共にいてくださること、聖霊が導いてくださっていることを感じ取っていくその恵みを願いたいです。本当の信仰の熱心さは、教会という建物や場所に所属するということ以上に、イエス様につながっていく心の熱心さだと思います。

そのためにまず、私たちができることは心の中でイエス様と親しく何でも対話していくことです。そのことを通して、自分とイエス様との距離が近くなり、イエス様を身近に感じることができるようになることです。今日という1日の中にもイエス様は目に見えないかたちで聖霊と共に私たちの中で働いてくださいます。私たちがこのイエス様を身近に感じて、毎日の生活をイエス様と共に歩んでいくことができるように、聖霊の助けを願いたいと思います。

そしてパウロが述べる言葉を大事にしたいです。「どうか、わたしたちの主イエス・キリストの神、栄光の源である御父が、あなたがたに知恵と啓示との霊を与え、神を深く知ることができるようにし、心の目を開いてくださるように。そして、神の招きによってどのような希望が与えられているか、聖なる者たちの受け継ぐものがどれほど豊かな栄光に輝いているか悟らせてくださるように。また、わたしたち信仰者に対して絶大な働きをなさる神の力が、どれほど大きなものであるか、悟らせてくださるように。」

パウロが言う私たちに必要な悟りは、私たちに与えられている希望と私たちが受け継ぐ豊かな栄光、そして神の力の偉大さです。パウロは神を深く知り、心の目を開いてくださるように知恵と啓示の霊である聖霊の助けを願います。私たちがいつも聖霊を求め、その聖霊の導きで私たちに与えられている希望、栄光、そして神の力のすばらしさを心に留めて歩むことができたらどんなにすばらしいでしょうか。その恵みを共に祈りましょう。

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