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執筆者の写真 カトリック戸塚教会

2021年6月20日 年間12主日

マルコ04:35-41 年間12主日(2021年6月20日)


今日、6月の3番目の日曜日は父の日です。私の父は、今老人ホームで過ごしています。10年前に母が亡くなってから6年間、父は一人で私たち家族が過ごした家で生活していました。4年前から、一人で生活することが難しくなり、シスターが施設長をされているカトリックの老人ホームに入れていただきました。今はホームで生活しています。私の家族の中で一番先に洗礼を受けたのは父でした。父は大学生の時に洗礼を受け、母は父と結婚してから洗礼を受けました。私と兄は幼児洗礼です。父はある意味で私たち家族の信仰生活の中心でした。教会の活動も熱心に行い、そんな父の子どもとして育ったことも私の今の司祭職の原点があるかもしれません。私は今まで年に2回実家に帰り、父と一緒に過ごしてきました。亡くなった母の思い出などを交えて、父と一緒にお酒を飲みながら話すことを大切にしてきました。そんな父も今90歳を迎えていて、後どれくらい父と一緒にいることができるのかとの思いもよぎります。いつか、父も神様の元へ旅立つ時が訪れるでしょう。その時は私にとって大きな日になるでしょう。それがいつかわかりません。でもそれまで父のことを大切に思っていきたいと思っています。父の日というのは、母の日に比べるとどこか目立たない面があります。でも世の中の全てのお父さんが今日、喜びのうちに過ごすことができるように祈りたいです。


今日の福音は、イエス様が湖の上で激しい突風の中にあって、艫の方で枕して眠っておられた場面です。以前、私は掛け軸をあつかっているお店に行くことがあってたくさんのすばらしい掛け軸を見ることができました。立派な書や水墨画の掛け軸がありました。お店の人からどれか購入なさいませんかとしきりに勧められましたが、どれも高価なもので私が買えるようなものではありませんでした。そんな中で私が一つこれなら買ってもいいなと思ったものがありました。それはどんな掛け軸だったかというと、七福神の一人である布袋さま、大きなお腹をかかえて笑っている布袋様の絵が描いてあるものでした。そしてその絵に添えて、言葉が書いてあって、その言葉は「世の中の苦しみや悲しみすべて私のところに持ってきなさい、私が全部食べてこのお腹の中に入れてあげよう」というものでした。大きなお腹を見せながら、にこにこ笑っている姿がとてもユーモアがあって、見ていてほっとする、そんな掛け軸でした。そのような話をある神父様にしたら、その神父様は、自分がもし掛け軸を作ることができるとしたら、嵐の中でぐっすり船の中で眠っているイエス様の絵を描いた掛け軸を作って自分の部屋にかけておきたいとおっしゃいました。


嵐にも動じずにぐっすりと眠っているイエス様、それに対して怯え、あわてふためいてイエス様を起こす弟子たちの姿、それが今日の福音で描かれています。嵐にも動じずにぐっすりと船の中で眠っていることができるイエス様の姿は、神様への信頼がどのような力をもたらすかを私たちに示してくださっています。どんな状態にあっても神様への信頼の心を起こすこと。神様への信頼こそが力になること。そしてその信頼が私たちに大きな力をもたらすこと。神様は私たちの信頼に応えてご自身の力を現してくださる方です。私たちは皆、嵐の中の船のように世の荒波の中を歩んでいます。ときにあわてふためいたり、叫んだりしています。皆それぞれに大変さの中を生きています。でも、そのような時こそ、私たちは神様への信頼を強めるように、深めるように呼びかけられています。



「黙れ、静まれ」という力強い言葉によって嵐を静められたイエス様。弟子たちはそれを見て非常に恐れて「いったい、この方はどなたなのだろう」と互いに言い始めます。イエス様がどなたなのか、これはとても大事な意味を持った問いかけです。そしてその問いかけは現代を生きる私たちにも向けられています。私たちが信じているイエス様とはどなたなのか。イエス様が持っておられる本質、真の姿はどのようなものか。きっと私たちはイエス様の真の姿にふれたら正常に立っていられなくなるでしょう。


イエス様は天の父の力を表してくださる方です。嵐を静められたのも、病人を癒す奇跡を行われたのも、人々が信じるためです。そして信じるとはイエス様とイエス様を通して働かれる天の父の力に信頼を置くことです。私たちにとって信頼に値する天の父の姿に私たちがもっと心を向けて歩む事ができたらと願います。天の父もイエス様も、そして聖霊も私たちの信頼に必ず応えてくださることを信じます。









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