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執筆者の写真 カトリック戸塚教会

2024年2月18日 四旬節第1主日

マルコ01:12-15

 

皆さんは四旬節と聞くとどのようなイメージを持たれるでしょうか。私は四旬節は、ただ節制をするというより自分と神様との関わりをもう一度振り返ってみる時と言えるのではないかと思います。イエス様が一番願われることは、弱さをもった人間である私たちが、神様とはどういう方かを知ること、その心にふれること、そして私たちもそのイエス様の心に倣い、イエス様と同じような生き方をするようになることです。

 

イエス様はこの世に人として来られ、ご自分の姿と行いで、御父がどのような心の方かを明らかにしてくださいました。そしてその一番の特徴は、罪人である人間を裁くのではなく、あたたかく接し、励まし、道を示すことで人間の立ち上がりを助けるということでした。そういう意味での救い主であることを示そうとされたということです。

 

旧約時代、ノアの洪水が引き起こされたのは、地上に人間の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い描き、この地は堕落し、不法に満ちていたからです。いつの世の社会も、同じような状況があって、神の言葉が根づくことのない不毛の地、「荒れ野」だと言えるのかもしれません。しかし神様は、そのような状態にあっても二度と洪水を起こさないと述べて契約を立て、そのしるしとして雲の中に虹を置かれました。それは人間が心を改め神様に心を向けたからではなく、神様から離れてしまう人間を忘れることがおできにならずに人間を救いへと導こうと神様御自身がそうなさったということです。

 

その神様の姿と心をもう一度思い浮かべて見ることが大事です。神様は忍耐といつくしみに満ちた方です。人間が神様から離れてしまっても、その人間を忘れずに救おうとされる方です。同時に神様がそういう方なら大丈夫で、自分は何もしなくてもよいということではありません。神様がそのような心と態度の方であることを知るからこそ、その心に応えるようにしていきたいと思うようになること、それが四旬節の一番大切な心です。何かきまりや掟に反したことについて反省するというのが四旬節の過ごし方ではありません。もっと今まで以上に神様の持っておられる心にふれていくこと。そのような努力を私たちがしていくこと。そして自分ができることを行動していくこと。そのような態度を取ることこそ、心を神様の方に向ける真の回心なのです。

 

今日、藤沢教会では午後3時から梅村司教様司式で教区合同入信志願式が行われます。その入信志願式の中で私たちの信仰を短い言葉でまとめた信条が授けられます。この信条で表されているのは、神様が天地の創造主である父である神様とその独り子イエス様、そしてそこから遣わされ私たちの中で働かれる聖霊であるということです。そして私たちが信じている信仰は、この神様がいつも私たちと共にいてくださるということを信じる信仰です。私たちの中には、神様が共にいてくださるって、一体どこにおられるのか、神様はどこに働いていてくださるのかと思う人もいるかもしれません。それでも神様は私たちの思いを越えて、私たちの日常の生活の中に溶け込んで共にいてくださる方です。目を見張るようなかたちでなくても、驚くような出来事でなくても神様はいつも私たちと共にいてくださっています。そのことを信じたいです。信じられるようになりたいです。そして私たちも一人ひとり神様が導いてくださる道を歩んでいきたいです。その歩む道の中にきっと神様が共にいてくださることは本当だということを知る鍵があるのだと思います。

 

「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」これがイエス様の最初の公の言葉でした。これは神様の方が先に私たちに近づいて来てくださったということです。人間が神様に近づいたのではありません。だからこそ心を神様に向けなさい、その恵みを信じなさいということです。神様は私たちが想像する以上に憐み深く慈しみに満ちておられる方です。私たちのことをいつも思い、私たちがご自分に向かって心を開き、何でも話してくれることを待っていて下さる方です。私たちに罪があるとしたら、それはこのよき方でいてくださる神様から離れ、神様が望まれないことを行ってしまうことです。私たちが真の意味でそこから立ち上がるためには、神様につながって、いつも神様に心を向け、自分の弱さを伝え、力を願って歩み続けることです。神様の助け無しに私たちは本当の回心の道を歩むことはできません。

 

今年も始まったこの四旬節の時を大事にし、神様と自分の絆をより強いものにしていけるように願いたいです。そして今日合同入信志願式を受け、復活祭に洗礼を受けられる方々の上に神様の大きな祝福を祈り願いましょう。

 

 

 

 

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