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執筆者の写真 カトリック戸塚教会

2021年1月3日 主の公現

マタイ02・1-12 主の公現(2021年1月3日)


今日は主の公現の祭日です。そしてこの日東方から3人の博士たちが主を拝みにはるばるやって来た場面が朗読されます。私が小さい時通っていた教会の馬小屋の飾りには博士の人形が2つしかなく、1つが紛失していました。でも当時の教会のイタリア人の神父様はいつもユーモラスにもう一人の博士は道に迷ってしまってまだ到着していないようですねとおっしゃってくださっていました。東方から博士たちが到着して、この主の誕生が諸国のすべての民のためであったことが示されます。イエス様の誕生は限られた一部の人たちのためではなく、全世界のすべての人のためになされた神の救いの業であるということです。


今日の福音には4度「星」という表現が現れます。そしてこの星と対峙しているのは夜の闇です。イエス様の誕生が輝く星で示されたのは、人間が生活している場が闇に包まれているからだと思います。人間が思うように生きることができていない、貧しく小さき人たちが隅においやられている。食べることにも不自由している人たちがいる。いろんな困難の中で力を失い倒れてしまっている人がいる。相談したくても相談相手がいない。神様が望まれた、人は本来助け合うために存在していることが機能していない。これらのこの世の闇と言える状態は、イエス様が誕生された2千年前も、そして今もその本質は変わっていないと言えます。そのような状態の中で、天の父はご自分の独り子をこの世に送ることをお決めになられました。


イエス様の到来は、希望すべきすべがないところに神の栄光が表されることを意味します。第一の朗読でイザヤの預言が読まれましたが、イザヤが告げるのは、今がどんなに失意のもとにあっても、また重い生活がのしかかっていても、必ず主の栄光が到来することを告げる。民を覆っている絶望の深刻さの中で、失意の中にある民の心を神に向けさせようとする、それが、イザヤが告げたことです。希望すべきものがないところに神の栄光が表されることを告げる。この世の多くの人が神などおられるとしてもどこにおられるのかと思っても、またこの世の闇が依然として闇の状態のままにとどまっていても、それでも光はいつも輝き続けていることを告げる。


福音で登場する3人の博士たちには2つの特徴があります。その一つは星の導きに従うこと、そしてもう一つは贈り物を携えていることです。星の導きに従って歩んでいくその旅は砂漠を抜けていかなければならない厳しい旅でもありました。それでもいつも星が輝いて、行くべき方向を示すと同時に励ましでもあったということです。星に導かれて砂漠の中の旅を続ける博士たちの姿は、この現代という時代の中で信仰をもって生きるキリスト者の姿でもあります。今も星は輝いている。その星の示す光に従うこと。そこを目指すこと。そして博士たちが贈り物を準備していたように、私たちも神様に捧げたらよい贈り物を準備すること。そしてその贈り物とは、何か特別な贈り物を用意するというよりも、私たち自身の生き方そのものを贈り物にしていくことではないでしょうか。


3人の博士たちは自分たちの心を照らす星の光に導かれて歩みました。私たちも自分の人生の飢え渇きに応えてくれる真の星に従って歩み出すことです。人生はその意味で旅なのだと思います。人生の意味を探し続ける旅。そしてそこに私たちを導く真の星が輝いていることを忘れないようにしたいです。


星の導きに従い、その星の存在に励まされ、そして自分自身という贈り物を携えて、主に礼拝を捧げるために歩み続ける。今年も新しい年を迎えて、新たな気持ちで歩んでいくことを願いたいです。

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