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  • 執筆者の写真 カトリック戸塚教会

2020年5月31日 聖霊降臨の主日

ヨハネ20:19-23 ミサ説教

今日、私たちは聖霊降臨という大きな出来事を記念しています。聖霊降臨は、イエス様が復活された日から50日目に弟子たちの上に聖霊が降り、教会の活動が始まったことを記念する日です。弟子たちは教会の活動を始めるにあたって、聖霊の働きを強く感じました。

これまで父である神から遣わされた者としてイエス様が地上で行なわれてきたことを、これからは弟子たちが引き継いでいくことになります。そして弱い人間である弟子たちが、この使命を果たすことができるように「聖霊」という神様からの力が与えられます。

それまでの弟子たちは、もっぱら受け身でした。話を聞くだけだったかもしれません。イエス様が先頭に立たれ、弟子たちはその後についていきました。そしてこれからもイエス様が何でもしてくださると思っていました。しかしイエス様の思いはそうではありませんでした。皆がキリストの証し人になること。イエス様が人々を救うためになさったことを弟子たちもそして現代を生きる私たちも継続していくということです。

それは決して私たち人間の力だけではできないでしょう。私たち一人ひとりに聖霊が注がれて、私たちが聖霊に包まれてはじめてその使命を生きることができるでしょう。

イエス様を捨てて逃げてしまった弟子たちも、イエス様から聖霊を受けることで、神の愛を生きる者に変わっていきました。イエス様が歩まれた道と同じ道を歩むようになりました。そして最後は命を捧げました。

イエス様が天の父のもとから送られる聖霊は、人をあたため、励ましと導きを与えます。聖霊は、神に逆らう働きに対して神の光で照らしていきます。深い闇の中にあった弟子たちを真の光の世界に導いたのも聖霊であり、その同じ聖霊が現代を生きている私たちにも働きかけてくださっているのです。

大切なことはいかに私たちがその聖霊の働きに気づき、それを感じ取っていくことができるかです。そして自分の中に聖霊が働きかけてくださっていることを実際に体験していくことです。

普段の生活の中で困難や損に思える生き方のうちに喜びを見出していくような体験。神様が目に見えないかたちで自分を支えてくださったことを感じる体験。そのような体験の中に聖霊の導きを見出すことができます。損が損ではなかった、やはりこれでよかったのだと心から思える出来事の中に、人を真のいのちに導く聖霊の働きがあります。

聖霊は、私たちがイエス様からの使命を引き継ぎ、人々に神様の存在とその働きのすばらしさを証ししていくために注がれます。そして聖霊は神と人、人と人とのつながりがより深いものとなるために働かれます。イエス様が言われる「聖霊を受けなさい。だれの罪でもあなたがたが赦せば、その罪は赦される。」という言葉の意味は、聖霊は、神と人、人と人との関係を修復し、取り戻すために与えられるということです。聖霊の働きの特徴は、関係を強めること、絆を取り戻すことにあります。

弟子たちが体験した聖霊降臨という大きな出来事を、何か特別な日の出来事と取るのではなく、私たちにとっても毎日が聖霊降臨なのだと思うことができたら幸いです。

私たちが日々聖霊に満たされて行動することができますように。また聖霊の導きを識別し、聖霊の呼びかけに心から応えて生活できますように祈りたいです。

私たちの生活の中にはまだまだ十分でないところ、分裂や対立の現実を抱えています。そしてそれらは決して人間の知恵だけでは乗り越えることができないでしょう。今日、聖霊降臨の大きな出来事を祝う私たちが、聖霊の必要性と、その働きを見出す力を願っていきたいです。そしてこれからの毎日が私たちにとっても聖霊降臨の日となっていきますように。

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